縮小市場から見る小規模事業者の生存戦略~ガソリンスタンド編~
こんにちは。そうさんです。
市場縮小に向かっている業種の生存戦略について書きたいと思います。
今回は現状分析と今後の方向性についてまでで、具体的な話は今後アクションを起こした都度記事にしていく予定です。
- 縮小市場において新たなビジネスモデルを検討している
- とは言っても既存のビジネスも大切にしていきたい
- リスクを抑えつつ、色々なことをやってみたい
という気持ちを持って検討しているところです・・
ガソリンスタンド業界の現状と今後
脱炭素・カーボンニュートラルの動きが加速し、電気自動車のシェアも着々と拡大している環境下で、ガソリン需要の減少が確実視されています。
他方で、需要の減少と同じ程度のペースで、ガソリンスタンド数も減少してきています。
一見すると、1店舗あたりの販売数量は同水準を維持できそうに見えますが、実態は
①メーカー直営や商社系等の大型店舗は新店舗を拡大
②地方を中心に地場の小規模ガソリンスタンドは後継者不足で閉業拡大
とか二極化してきている状況です。
また、小規模のガソリンスタンドが減少している理由として、原価が異なる点があります。
メーカーの仕入れに利益を上乗せして販売していますが、直営店は自社で精製したガソリンをそのまま販売できるということです。
同じ商品にも関わらず、原価が異なることは当然価格競争力の面で不利になります。
更に、メーカー直営は需要減少局面で、価格競争力を押し出して、販売価格を大きく下げている傾向。周辺の小規模スタンドは太刀打ちできなくなってきています。
まさに当社が直面している状況です。
同様に他社もビジネスモデルを再構築する局面にあると考えています。
自動車保有台数に基づく「総走行距離」/「平均燃費」を基に想定したガソリン需要予測
経済産業省 2023~2027年度石油製品需要見通し(案) 2022~2027年度を総じてみれば、年平均▲2.3%、全体で▲10.8%と減少の見通し
– HV等の次世代乗用車保有台数の増加に伴うガソリン乗用車保有台数の減少や、燃費の良い車への乗り換えによる乗用車燃費の着実な
改善等により、需要は年平均▲2.3%で推移する見通し。
– 次世代乗用車については、政府の『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』等を基に販売台数を想定し、減少要因として考慮
した。
給油所(ガソリンスタンド数の推移)
資源エネルギー庁 令和4年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました
経営戦略の方向性(小規模事業者の観点)
小規模事業者の強みを活かす
私は小規模事業者の強みとして「柔軟性」「スピード感」を感じています。
・スピード感
大学卒業後、7年ほど大企業でサラリーマンをしていましたが、1つの部署で新しいプロジェクトを行うだけでも「上司とすり合わせ→管理者層ミーティング→議事録作成→更に上位層の承認→部署メンバーとのすり合わせ・・」と、意思決定に時間がかかりました。ましてや全社的なプロジェクトでは想像を絶する調整が必要になります。
一方、現在は一声かければすぐに経営会議を行うことができ、決定後は速やかに着手することができます。
時代の変化が加速している現在、このスピード感を活かせる小規模企業は、時代に合ったビジネススケールであり、先行者利益の獲得も目指せます。
・柔軟性
こちらも大企業でのプロジェクトでは、多数の合意形成を経ているからこそ、途中での軌道修正が困難な傾向がありました。
現在は店頭POP・キャンペーンひとつ取っても、とりあえずコストをかけずに試してみて、顧客の反応を見ながら軌道修正していくことができます。
また、大企業では多様な社員で均一のサービスを提供するために、決められたマニュアルに基づいて悪く言えば「融通がきかない」ことが多いです。
小規模事業者だからこそお客様の細かなニーズにタイムリーに応えることができるのは武器になっていると感じています。
どうせ小さい会社だから・・ではなく、小さい会社だからこそ!の心意気で事業に臨んでいきたいと思います!
”思慮深い献身的な市民の小さなグループが世界を変えられることを決して疑ってはならない。それはまさに起こったことなのだ”
文化人類学者 マーガレット・ミードの言葉
また、ニッチな需要に特化することで競争を避けるブルーオーシャン戦略の観点も重要と考えています。
興味のある方は以下の記事をご覧ください。
経営戦略の方向性(当社の観点)
売上額よりも客単価増加を追求する
当社ではありがたいことに昔から利用いただいている法人・個人顧客を抱えています。
多くは給油だけでなく、オイル・タイヤ交換やコーティング、洗車等の油外サービスの需要があり、経営を支えていただいています。
今後は、潜在的なニーズを洗い出し、新サービスの提案をしていく予定です。
例えば・・
- 不動産業を営む顧客に対して、内見のお客様を乗せるときに営業車を綺麗にすることで満足度を高める対策として洗車サブスクの提案
- 高齢の顧客に対して、セルフ洗車機で洗車後、+1,000円で拭き上げサービスの提案
中小企業診断士試験でも、マーケティングの基本として売上=「客数」×「客単価」×「頻度」で、それぞれの方向性から施策を考えるというフレームワークがありました!
ガソリンスタンドでは、燃費向上・自動車保有台数減少という情勢で「客数」「頻度」の減少が避けられない中、「客単価」にアプローチする戦略が有用と考えます!
パイの奪い合いになりがちだけど、不動産業者に対して車の綺麗さの重要性を伝えてみる等、潜在的なニーズを引き出して収益拡大を図ることも重要ね!
新たに収益を生み出すビジネスを育てる
いくら客単価を向上させる取り組みをしていくとしても、ガソリンスタンド業界が先細りである以上、新たなビジネスも育てていかなければいけません。
ここで検討しているのが、まさにブログテーマでもある「負けないスモールビジネス」です。
それは、新たなビジネスに注入する資本(資金・労働力)を効率化・極小化してリスクを抑え、トライ&エラーを繰り返しながら時流に乗ったサービスを提供し続けることと定義しています。
当社においては、最終的にガソリンスタンド事業+それぞれの従業員がスモールビジネスの部門責任者を担っている状態を目指します。
更に、ガソリンスタンド経営との相乗効果を発揮できれば理想的です。
ガソリンスタンドは毎日多くの顧客が来店します。最近ではカフェやコインランドリーを併設するなど、ガソリンスタンドをプラットフォームとして活用している例が増えています。
当社では様々な業種(建設・リフォーム・舗装・不動産・福祉)の法人顧客がおり、「仕事が忙しくて手が回らない」「仕事が無くて暇」「転職したい」「人が足りない」という様々な声が日々入ってきます。
そこから例えば、人材・仕事の仲介や斡旋を行うプラットフォームとして、紹介料をいただくというビジネスモデルは需要がありそうです。
同じように、家を探している個人顧客と不動産業者や、資材置き場を探している法人顧客と地主さんとのマッチング等もできるかもしれません。(私自身が宅建士の資格を保有しているため、不動産事業部の立ち上げも視野)
あとはガソリンスタンドとは無関係ですが、昨年はトレーディングカードブームだったため、ブームの間だけ店舗の一角にトレカショップの開設を検討したりと、日々従業員間の会話の中で新たなスモールビジネスのトピックが出ています。
まとめ
今回は小規模事業者の生存戦略をテーマにしました。
我々は大きい企業の資本力・スケールメリットには太刀打ちできず、主力商品のガソリンで価格競争力が弱い状況です。
そんな環境下で負けずにビジネスを続けていくためには、小規模ならではの強みを活かしながら、従業員それぞれが機動力高く動き続ける必要があります。
副業が活発化している昨今、会社も個人も「本業×〇〇」というモデルを追求することが重要です。
中小企業診断士としての経営支援活動でも、1つの選択肢として提案できるよう、まずは自社がロールモデルとなれるよう歩みを進めていきます!
何かに投資する際にはリスク・損益分岐点等の観点で補助金の活用も有効です。
弊社で小規模事業者向けの補助金を申請・採択されたときのお話を紹介している記事がありますので、興味のある方は是非ご覧ください!