令和5年度中小企業診断士試験に合格するまで【2次試験編】
こんにちは。そうさんです。
私は令和4年度(2022年度)の中小企業診断士試験で1次試験のみ合格し、翌令和5年度(2023年度)試験で2次試験に合格しました。
今回は、中小企業診断士の資格取得において、仕事・育児等との両立でも合格できた方法を紹介します。同じような境遇で、これから勉強を始めるOR勉強中の方に少しでも参考になれば幸いです!
試験の概要
試験は1次試験7科目(マークシート)、2次試験4科目(記述)、2次試験(口述)の3段階で合計4日間かけて行われます。2次試験の科目は以下の通りです。
2次試験範囲|4科目
・記述試験
(1)中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ
組織・人事 ー80分
(2)中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅱ
マーケティング・流通ー80分
(3)中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ
生産・技術 ー80分
(4)中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ
財務・会計 ー80分
・口述試験
(1)試験時間は約10分
(2)記述試験の事例Ⅰ~Ⅳに関連する質問が4問程度出題
(3)1問あたり2分で回答
※合格率は99%以上のため、形式的な試験に近いイメージ
また、合格基準は以下のように定められています。
第2次試験の合格基準は、筆記試験における総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満がなく、口述試験における評定が60%以上であることを基準とします。
1次試験と同様に全て100点満点なので、400点満点の60%、つまり合計240点が合格基準。これに加えて40点未満の科目がないことも必須ということですね!
2次試験は1次試験と違って科目合格の制度がないの・・しかも2回連続で不合格になると1次試験からやりなおしになっちゃう。
なるほど・・気合を入れて取り組む必要がありますね!!
2次試験はすべて記述問題ですが雲を掴むような試験と言われています。なぜなら2次試験の模範解答は公開されず、採点方法が不明なためです。TACをはじめとした予備校が予想回答を出しますが、内容が異なっていることが多いです。
ただし、事例Ⅳの財務・会計では計算問題が一定程度出題されるため、唯一「正解が分かる問題」があります。
また、問題は無料で公開されているので、興味がある方は確認してみてください。
参考:『中小企業診断士試験ホームページ』
1次試験から約3か月後に2次試験が実施され、非常にタイトなスケジュールが明らかでしたので、より効率的な学習計画を立てる必要がありました。
・・・が、焦りから計画が甘いまま1年目の勉強を開始することになるのでした。。。
勉強方法(1年目)
「~すれば合格できる」という明確な勉強方法がなく、常に「この方法で正しいのか」と不安との闘いでした。
私は1次試験同様にStudyingの通信講座+不足分を市販書籍で補完しようと考え、学習を開始しました。
講座を受講して分かったことは大きく3つです。
- 回答に必要な知識はほぼ1次試験の内容でカバー可能
- 事例Ⅳは正解がある試験で勉強時間と得点の相関が高い
- 事例Ⅰ~Ⅲは回答作成手順を学べるが、無理に合わせる必要はない。
Studyingの回答作成方法は、ロジックマップというスキームを使います。与件文(問題文)から根拠を探して、解釈をして、回答に落とし込んでいくのかというものです。
これは、実際のコンサルティング業務に通ずるものがあると考え、1年目はStudyingのスキーム通りに学習を進めました。
事例Ⅳに関しては「中小企業診断士2次試験事例IVの全知識&全ノウハウ」を使用しました。
振り返り(1年目)
結果は残念ながら不合格・・
勉強時間が150時間程度しか確保できなかったこともありますが、正直受験直後は「もしかしたら受かったのでは?」という感覚だったため、目の前が真っ暗になりました。
事例Ⅰ~Ⅲは実際のコンサルティング業務に近い+明確な正解がない。つまり、根拠に基づいたロジカルな回答が出来れば合格点が取れると思っていたのに・・・
たしかにね。でも採点をする試験である以上は一定の基準があるはずだよね。採点者も複数いる中で公平な採点を行うにはどうするんだろう。
キーワードだ!回答文に入っているキーワードの数×配点という採点基準を作っておけば公平な評価ができる!
そうね。おそらくだけど問題ごとの「キーワード×配点」±文章構成で評価されていると思う。
私はキーワードの積み重ねで得点を稼ぐという意識が無かったため、足切りの40点は上回っていたものの合格点の60点には届かなかったと考えました。
調べてみると、後述する「ふぞろいな合格答案」という参考書が、まさにキーワード重視の対策本だったのです。
そして、妻には不合格のお詫びと共に、翌年必ず合格する決意表明を。
今度は1年間準備期間があるため、勉強方法の検討に時間をかけることにしました。
勉強方法(2年目)
私が実際に合格を勝ち取った勉強方法です。
検討プロセスまで書くと情報量が膨大になってしまうため、先輩診断士への相談・書籍・ブログ等を踏まえた結論のみ記載します。
このトピックは受験生向けの内容になるため、検討段階の方は読み飛ばしてください。
使用した参考書
①中小企業診断士2次試験 ふぞろいな合格答案10年データブック
★内容
・10年分の過去問与件文
・設問
・解答キーワード
・簡単な解説
★使っていた部分
・直近5年より前の過去問与件文、設問・解答キーワード
★良い点
・10年分の過去問が1冊になっている
・解答のキーワードが正解確率の高いものから順に点数化されており、自己採点に使い易い。
・自分の思いつかなかったキーワードを補強しやすい
★不足点
・設問文がまとまっていないので、解く時に使いづらい
・解説がかなり簡素なので、解答作成のプロセスはわからない
・特に事例IVは解説が不十分なので、他の参考書での補足が必須
②中小企業診断士最速合格のための第2次試験過去問題集 (TAC出版)
★中身
・直近5年分の過去問与件文、設問文、解答用紙、解説、模範解答
★使っていた部分
・基本的に全部
★良い点
・過去問与件文、設問文が試験本番の形に近くて使いやすい
・解答用紙がついているので、文字数カウントに慣れるまで演習に活用しやすい
・解説が丁寧で、模範解答に至るまでの思考のプロセスを理解できる
★不足点
・1つの模範解答に向かうプロセスのみなので、多くの切り口を見つけることはできない
・キーワードごとの点数が明示されていないので、自己採点が困難
③中小企業診断士2次試験事例IVの全知識&全ノウハウ
★中身
・事例IVで頻出の知識、過去問抜粋、解説
★使っていた部分
・全部
★良い点
・とにかく解説が丁寧なので、わかりやすい
・経営分析、損益分析、NPVの設問例が豊富なので、様々なパターンに対応できるようになる
★不足点
・事例IVはこれだけとにかく回せば大丈夫だと思うくらい充実していました。
事例I・II・IIIの解答プロセス
①設問文を読む(15分)
何が問われているのか、条件は何かを細かくチェック。設問を読んだ段階で、使えそうな知識を設問文の近くに書いておき、解答作りのヒントを残しておくと解答作成時に楽&与件文を読む時の目の付け所がわかるのでオススメ。
設問を読んだ段階で50%くらいは解答ができているようなイメージ。ここで時間をかけて丁寧に取り組んでおくことで解答での要素の抜け漏れやブレの防止につながりました。
②与件文を読む(15分)
目の付け所を意識しながら、与件文を読んでいきます。
「いつ・課題・過去や他社での成功事例」は見落とさず、赤ペンやマーカーでチェックを入れます。ペンを持ち替える時間が勿体無いので私は赤ペン1本でマーキングしましたが、試験会場では蛍光ペンを複数使い分けている人も一定数いました。
チェックした要素は、関係しそうな設問文の下に書いておきました。
③解答作成(1問あたり7~10分程度)
与件文の内容と、メモした使えそうな知識を元に解答を組み立てます。
ここで、解答に含めるキーワードの量を意識しました。正解が公表されない以上、出題者の意図する正答はわからない試験という前提で、なるべく沢山のキーワードを書いて、どれかが当たれば良い、という意識で解答を作りました。1つのキーワードを丁寧に説明するより、3つのキーワードを書いておいた方が点数が伸びる可能性が高いからです。
そのためには「ふぞろいな合格答案」が役に立ちました。 2年目合格できたのは、この解答作成方法に切り替えたことが1番の要因だと思っています。余談ですが、多くのキーワードを効率的に入れていくために、箇条書きの形式で解答を作ることが多かったです。
事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの提案の幅を広げる
過去問を解き、「ふぞろいな合格答案」の解答と照らし合わせます。その際、自身の解答には含まれていないキーワードや提案内容をチェックします。当初は解答作成の考え方を理解するために「TAC」の過去問解説を読んでいましたが、1、2回読むとある程度理解できるので、その後は「ふぞろい」 のみで答え合わせをする形で良いかと思います。
事例Ⅳは並行してなるべく毎日1問ずつは解いて慣れる
事例Ⅳはやればやるほど点数が伸びます。特に経営分析は、難易度が高くなく、安定して20~25点を確保したい部分なので、問題を覚えるくらい何度も解くことをオススメします。また、隙間時間で勉強しやすいので、通勤時間やお昼休憩時間などでパパッと解く習慣ができると良いかもしれません。
振り返り(2年目)
合格しないと1次試験からやり直しという背水の陣で迎えた2次試験。合格できて心から嬉しかったです。
全科目60点程度の点数を取ることが出来たため、勉強方法の方向性は間違っていなかったかなと思います。
勉強時間は?
1年目は150時間程度、2年目は250時間程度で合計400時間でした!
1次試験の600時間と合わせると、ちょうど1000時間を費やしたことになります。
2次試験で足踏みしてしまいましたが、結果的にガイドラインとなる勉強時間程度に収まった形です。
まとめ
家業の経営に携わる準備として始めた中小企業診断士の勉強でしたが、2次試験の勉強で、様々な悩みを抱える企業の事例を検討し続ける中、学んだ知識を活かして社会貢献をしたい!という想いが大きくなりました。
そして、産前産後にも関わらず試験勉強を支えてくれた妻のためにも、合格することができて嬉しかったです。今後妻が何かに挑戦する時には全力で応援することを誓いました。
当初、2次試験まで想定した勉強計画を立てられていれば1年で合格できたかも・・・とは思ってるので、これから受験を検討している方は私の失敗を含めて、少しでも参考になれば幸いです。